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19 May

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11 September

思春期

小林は人間らしい生活を送るうちに思春期を迎えても良いと思います!!






「触んな」
花崎の手が小林に弾かれる。
靄ではなく、小林の意思と手によってだ。
「……今報告書書いてんだよ。失敗したらお前のせいだからな」
胸を痛めかけた花崎に、小林は理由を告げた。
その手元にはまだ慣れていないらしいキーボードパネルが表示されていた。
確かに頑張って書き上げた報告書を台無しにされたら嫌だろう。
思わず手を払ってしまうのも分かる。
「あ、わりー。気を付けるな」
花崎は笑って手を引いて謝罪した。
と、いうことがあった。
では、終わらなかった。
「俺小林に嫌われたかも知れない……」
存外自分のことにおいては溜め込む傾向にある花崎だが、それが誰かを巻き込んでいた場合には解決しなければと思うのか、相談することもある。
「はあ?」
その相談役に選ばれたのは大友だ。
事務所には小林がいるから野呂や井上に相談できない。
それに大友は何だかんだ言いながらも話は一応聞いてくれる男なのだ。
だが、その一応で話を聞いた大友は、花崎の一言に理解しがたいという返事をする。
小林が花崎を好いていることなど、少年探偵団全員が理解している。
足を失ってから好意に異常なほど鈍感になった井上だって分かっている程だ。
何をどうしたら、花崎は小林に嫌われているなどと思えるのか。
「何で突然そんなこと思ったのさ」
けれど、花崎は本気で落ち込んでいる。
花崎も好意に対しては鈍感だ。
それでも小林に嫌われているとは思っていなかった筈である。
なのに突然こんなことを言い出したということは、理由またはそれに足る証拠に触れた可能性が高い。
どうせ誤解であろうが。
「だって小林、俺に触られんの嫌がってるぽいんだもん」
花崎は、拒まない相手なら気安く触れる。
抱き着くことにも躊躇いはないどころか、テンションが上がると飛びつく勢いすらある。
小林が少年探偵団との間から靄を取り除いて既に数か月経つ。
最初のうちは慣れないそれに戸惑いもしたが、それでも拒みはしなかった。
だというのに、ここ暫く、小林は抱き着かれるどころか花崎が近くにいるだけでも居心地悪そうに表情を歪め、時には同じソファに座るのすら耐えられないというように花崎から物理的に距離を置くのだ。
「小林の方見れば目は合うから、視界に入れたくないほど嫌われてはないと思うんだけど、でも目が合った瞬間逸らされんの…」
告げる花崎は、思い出して泣きそうなのか瞳が潤んでいる。
(あほらし)
大友は泣きそうな友人を前にそう思った。
口に出さないのはせめてもの情けだ。
その状況を見ていない大友でも、小林の行動がどういったものか、今の花崎の言葉だけでわかってしまった。
小林の行動はある意味、小林の成長ともいえるだろう。
小林は、今までは簡単に言えば『動物』だった。
お腹が空けば食べ、眠ければ寝る。
欲しいものは手に入れようとし、要らないと思ったら捨てる。
自分の所為で傷つけた場合以外、生きようが死のうが他人のことなど気にしない。
そんな生き物だった。
それが『他人』と『仲間』の認識の違いを手に入れて『人間』になった。
自分以外の誰かのことも意識するようになったのだ。
更に、年齢的に小林は体の成長も顕著だった。
急激に変化する心と体の成長に伴い、今まで存在しなかった幾多の感情が芽生え、それを処理しきれず溢れさせ、しかもその感情に影響される体に戸惑いを見せることもあるだろう。
特に、小林に一番影響力がある花崎に対してなら、他の誰よりも顕著になるだろう。
簡単に言えば、照れ、だ。
花崎に対して恥じらっているのだ。
「可愛げ出てきていいんじゃな~い」
「は?」
小林が避ける、という言葉に対して何故可愛げという言葉が出てくるのかさっぱり分からず花崎は首を傾げる。
「お前よりあいつの方が、実は成長が早かったんだねえ」
ちょっと意外。でもないか、と大友は肩を竦める。
「なんだよそれ……」
訳が分からず花崎は眉を顰めた。
「お前もそのうち小林とまともに視線が合わせられない日が来るかもしれないってこーと」
「そんな日こねーもん……」
納得しがたい大友の言葉に、まともに相手してくれないのかと花崎は拗ねて顔を逸らした。
どうだか、と苦笑して大友は外に目をやり、やはり何故花崎が小林に嫌われた等のと思ったのか分からないと笑いが込み上げる。
「嫌われてたら、態々迎えに来ないと思うけどね~?」
「へ?」
目を瞬かせる花崎に、大友は窓を離れながら携帯を操作してマップを見せる。
「これ、お前。これ、小林ね」
示されたポイントの小林が、少しずつ近づいてきている。
「小林、今日ここになんか用あんの? 俺代わりに持って帰ろうか?」
小林は瑠璃学の生徒ではないので、道具の受け渡し等、大友に用がなければ当然来ることはない。
向かっているということは用があるということだろうかと思い、道具ならば自分が持ち帰ればいいと花崎が提案する。
それに大友は呆れるしかない。
「花崎お前、俺の話聞いてるー? 迎えに、って俺言ったでしょ」
大友が言った途端、化学実験室の扉が開いた。
「花崎!」
扉を開けたのは近づいてきていた件の人物。
花崎を見つけ肩の力を抜いたと思えば、大友に気付き少しばかり不機嫌になる。
「お前今日は学校の日じゃねーだろ。何でここにいんだよ」
不機嫌のまま早足で花崎に近づき、責める様に花崎に問う。
「何でって…」
「そりゃ俺に会いに来たからだよな?」
一緒にいただけで不機嫌な顔を向けられたお返しに揶揄ってやろうと、大友は態と花崎に近づいて小林から引き離すように自身に引き寄せてその頭を撫でてみる。
小林には簡単にはできないことだ。
特に今の小林には。
自らが行うスキンシップ過多の花崎は状況が分かっていないのだろう。
「そうだけど何で撫でんの?」
疑問に思いつつも、特に嫌がる素振りはない。
案の定、小林の表情の険しさが増した。
文句を言いたいのだろう。
口を開きかけて、だが何を言えばいいのか分からないのか舌打ちだけをした。
「また何か実験か?」
大友に会いに来た、という言葉を小林なりに考えたのか、小林は大友を睨み付けながら問う。
道具の件では小林には実験以外できないので、必要なことだというなら仕方ないと諦めも付く。
「い~や? 俺と花崎は~友達なんだから、別に用がなくったって会いに来ることくらいあるでしょ」
「……会ったんだから、ならもう花崎は帰ってもいいだろ?」
「そうだね」
これ以上花崎の話を聞いたとしても適切なアドバイスなど出来ようはずもない。
成長途中の子供をこれ以上苛めるのも可哀想だと、大友は素直に頷いた。
「なら帰るぞ」
大友が頷いたので、小林は花崎にそう告げると、早々に連れ出したいのか、大友の腕から引っ張り出すように立たせると、花崎の背を押して歩き出す。
「ちょっ、小林! 俺自分で歩けるから!!」
あまりに勢いよく押されるので転びそうになり、慌ててその手から逃げる様に前に進む。
漸く小林の方から触ってくれたのだとしても、急かすだけの行動では花崎も嬉しくならない。
「いいから早く行くぞ」
だが小林はお構いなしにグイグイと花崎を押す。
「小林ー、ちょっと」
それを見て大友が呼べば、小林は手を止めて振り返った。
だが、訝し気な目を向けるだけで傍に寄ろうとはしない。
しかし、花崎に見えない位置から指で花崎を示されて、つまり花崎の事で何か話があるということなのだろうと渋々花崎から離れて大友に近づいた。
「なんだよ」
間近で問えば、大友は花崎に聞かせない為に身を屈めて小林に顔を近づけた。
「まあ、友達があんまり落ち込むのも嫌だから言うけどさー、お前の態度も分からないでもないし寧ろ常識的なモノかもしんないけど、それ、花崎には理解の範囲外だから」
「何のことだ」
訳が分からず小林は眉を顰める。
しかも花崎の事を理解していますと言わんばかりの大友の言葉に苛立ちもある。
しかし続いた言葉には口を歪めるしか無くなった。
「小林があんまり恥ずかしがって避けてると、花崎との距離、修復できなくなるよって話」
花崎は失ったものを取り戻そうとするのではなく、諦めようとする。
他人の為なら、いくらでも手を伸ばし続ける癖に、自分の為には伸ばしきる前に諦める。
自分の為に諦めきれなかったのは少年探偵団で、恐らくまだ諦めきれていないのは明智小五郎だ。
人生において二つだけなのだ。
だが、小林は距離が空いても少年探偵団の一員であることは変わりないのだから、必死に手を伸ばして取り戻す必要はない。
距離が空くだけで、小林が失われる訳ではないから。
「花崎が一度でも諦めたら、外側から踏み込むのは相当難しいからね」
花崎は自分を晒して誰でも近づけるように見せて、実際に近づいてみれば、分厚い透明な壁に阻まれる。
見えているのに、すぐ近くにいる筈なのに、近づくことを許されない。
そんな状態になりかねない。
それは花崎にも小林にも良い状態とは言えない。
大友の言葉に苛立ちつつも、理解はしているらしく、小林は舌打ちをする。
「……気を付ける」
そして、躊躇いながらも大友にそう返した。
大友は小林の返事に笑いが込み上げる。
「お礼は『ありがとう』でしょー?」
「知るか」
揶揄い交じりに大友が言えば、もう一度舌打ちして小林は背を向けた。
「何話してたの?」
「別に」
花崎が問うが、答えずに小林は、今度は押すのではなく花崎の袖を摘まむように引いて歩き出した。
「じゃあ大友、またなー」
小林に袖を引かれる形で歩き出した花崎は振り返って大友に手を振った。
手を握るのは照れ臭いのだろう。
恐らく袖を摘まむのは小林の妥協点だ。
だがそれを小林からすることによって、触りたくないわけではないと少しは伝わるだろう。
早速、大友の言葉を意識した行動をする小林に、大友は笑みを浮かべた。
「え、仕事じゃないの!?」
その大友の耳に、花崎の驚く声が入ってきた。
廊下は声が良く響く。
花崎は小林が迎えに来た理由が仕事だと思っていたのだろう。
「さて、どうするのかねー」
気をつけるといった以上、ただ避けるという対応はしないだろう。
どんな言い訳をするのか。
あるいは面倒くさくなって、とにかく言葉を並べて自覚していない想いを吐露してしまうか。
何にせよ、笑って解決できれば良い。
もしあの二人が上手くいくようなことがあれば今日のことは揶揄ってやろうと心に決めながら、大友は思った。





小林視点



花崎を見ているとムズムズする。
近づくと心臓が煩い。
触られると両方同時に来る。
耐えられなくて、つい距離を開けてしまう。
自分から近づくのもダメだ。
何か体がうまく動かせなくなる。
触ってみようとしたら手が止まった。
一瞬靄が止めたのかと思うくらいに手が動かなかった。
花崎が笑ってれば前はいつも通りだと安心できたのに、それさえも動悸が煩くなる。
落ち込んだ顔は余計面倒臭い。
僕が花崎から逃げようとすると、落ち込んだ顔をされるから余計鬱陶しく思う。
見なければいいのかと思ったけど、離れたいわけじゃない。
というか、近くにいなきゃいないで、全然落ち着かなくなる。
もう花崎という存在自体が面倒臭い。
どうすりゃ良いのか分かんねえ。
でも拒んでいたらあんまり落ち込んでるみたいだったから、久しぶりに抱き着かれるのを許してやった。
安心したように笑った顔に胸のあたりが温かくなった気がした。
ムズムズするけど、悪くないと思った。
でも帰ってきた井上と梟に見られたら、ムズムズが大きくなって耐えきれなくなって、思わず「いい加減離れろ」と花崎を突き飛ばしていた。
別にそんなことしたかった訳じゃないのに、体が言うことを聞かない。
大体花崎は何で見られて平気なんだよ、とも思ったけど、あいつ僕だけじゃなくて他のやつにも簡単に触るから気にならないんだと気づいた。
ムカついた。
誰にでも簡単に触ることも、何も気にしないことも。
他のやつらと同じように触られると思うと、ムズムズした感覚よりイライラする方が強くなる。
そう簡単に触らせてやるかとも思った。
そう、思ってたのに、最近、花崎が僕に伸ばす手に躊躇いがあると気づいた。
それが堪らなく悔しい。
もっと伸ばせよと思う。
次に伸ばしてきたら、また久しぶりに我慢してやるから。と、思ったのに、花崎はその日僕に触ろうとしないまま帰ってしまった。
なんだそれは!
人がせっかく覚悟を決めていたのに!! と花崎の背中に叫びそうになった。
まあ、明日だと耐えた。
なのに、次の日花崎は事務所に来なかった。
井上は何も言っていないから、多分井上には連絡が入っているんだろう。
なんで僕にはないんだと思う。
花崎はパートナーの筈だ。仕事の相棒に連絡がないのはどういうことだと思う。
電話してやろうと思って携帯を手にして、直接会って言ってやらないと気がすまないと思い直した。
出かけてくる、と井上に言って事務所を出る。
仕事中に花崎の位置を確認する為いつも使っているから、花崎のGPSを追うのは慣れている。
いつものように起動して、あいつの学校にいるのだとわかった。
あいつの登校日は今日じゃない。
なんで学校にいるんだと思いながら、学校だったら問題も無いだろうとそのまま向かうことにした。
まあ、別に他の所だろうと行くつもりだったけどな。
学校について、校舎に入って、おそらくいるであろう山根達のがいつも使ってる部屋を目指す。
扉の前に行けば、声が聞こえた。
間違いなくいる。
「花崎!」
呼んで、扉を開けば、何故か泣きそうな花崎がいた。
コイツに泣かされてんのか?
でもそれならここにいる理由はわからない。
いや、花崎なら笑いすぎて泣きそうになってもおかしくないけど、それはそれでムカつく。
「お前今日は学校の日じゃねーだろ。何でここにいんだよ」
事務所に来ないで、僕をほったらかしてコイツのところにいるということにイライラする。
「何でって…」
「そりゃ俺に会いに来たからだよな?」
花崎が答えようとしたら、大友が僕から引き離すように花崎を腕で引き寄せて、しかも頭を撫で始めた。
なんでそんなこと簡単にできんだよ! 気安く触んな!!
触りたいなら山根でも触ってりゃいいだろ!!
「そうだけど何で撫でんの?」
そうだ、なんで撫でる必要がある!
花崎はなんでとか言うなら嫌がれ!!
なんで大人しく撫でられてんだよ!!
大体、コイツに会いに来たってどういうことだよ!!
叫びそうになって、でもそのままの言葉は言うのが躊躇われて、何を言えばいいのかわからなくて声が出ない。
苛立ちだけが募って、言葉の代わりに舌打ちが出た。
「また何か実験か?」
会いに来た理由があるのかもしれないと考え直す。
コイツは秘密道具を作ってる。
花崎はしょっちゅう改造を依頼したりしている。
それは僕にはできないことだから、それなら仕方ない。
「い~や? 俺と花崎は~友達なんだから、別に用がなくったって会いに来ることくらいあるでしょ」
そう思っていたのに、用もなく、僕ではなくこいつに会いに来たのだと言われますますイライラする。
「……会ったんだから、ならもう花崎は帰ってもいいだろ?」
実験があるわけでもないなら、会う、という目的を果たした以上花崎がここにいる理由はない筈だ。
「そうだね」
あっさり頷かれて、少し拍子抜けした。
「なら帰るぞ」
だが用が済んでいるというなら、やはりさっさと連れて帰ろうと思う。
今日は花崎に触らせてやると決めたのだから、時間が減るのも惜しい。
花崎が僕の言葉に反応するより先に、鬱陶しい腕から引き抜いて立たせる。
まだ理解していないのか、花崎の動きが遅い。
仕方ないので背中を押してさっさと歩かせる。
「ちょっ、小林! 俺自分で歩けるから!!」
「いいから早く行くぞ」
花崎が叫ぶが、遅いんだから仕方ねーだろ。
早く歩け。
「小林ー、ちょっと」
花崎を押していたら背中から声がかかったので、一応振り返る。
用が有るあんならさっさとしろ。
そう思ったのに指で小さく花崎を示されて、花崎のことで何か言いたいことがあるらしいとわかった。
こいつ下手に近づくと変な実験しようとするからあんま近づきたくねーんだけど花崎のことなら仕方ない。
花崎を扉の外に残して近づいた。
「なんだよ」
「まあ、友達があんまり落ち込むのも嫌だから言うけどさー、お前の態度も分からないでもないし寧ろ常識的なモノかもしんないけど、それ、花崎には理解の範囲外だから」
「何のことだ」
何が言いたいんだコイツ?
訳わかんねーこと言う為に呼び止めたのか?
しかもなんだよそれ、花崎の理解の範囲外って、お前は花崎の理解の範囲ってやつが分かるって言いたいのかよ。
ムカつく。
「小林があんまり恥ずかしがって避けてると、花崎との距離、修復できなくなるよって話」
でも、次に言われた言葉に、何も言えなくなる。
花崎が少しずつ距離を開け始めてんのはわかってる。
だから今日は少し近づこうと思ったんだから。
「花崎が一度でも諦めたら、外側から踏み込むのは相当難しいからね」
諦めたら、という言葉に背中を冷たい何かが這い上がった気がした。
花崎は諦めを知らないと思っていた。
でもそうじゃないと、一緒にいてわかった。
もし、諦めた時は本当に諦めた時だ。
どうやらコイツは僕に忠告してくれたみたいだ。
「……気を付ける」
だからそう答えた。
答えたら、なんか急ににやけた顔になりやがった。
「お礼は『ありがとう』でしょー?」
その顔でそんなことを言われた。
「知るか」
鬱陶しくなって舌打ちしながらそう言っておいた。
「何話してたの?」
「別に」
花崎に聞かれたけど、特に話すほどの内容じゃない。
でもあいつが言う通りなら早く開いた距離を埋めたほうがいいのかもしれない。
覚悟を決めて、花崎の袖を掴むと引っ張って歩き出した。
花崎は驚いた顔をしたけど、振りほどきはしない。
コイツは仲間から触られるのを拒んだりしないのは知ってるけど、やっぱり少しホッとする。
「じゃあ大友、またなー」
花崎は振り返って、僕が掴んでいないほうの手を振って挨拶していた。
それから、僕の隣までくる。
引く必要はなくなったけど、誰が見てる訳でもないしこのままでいようと思う。
僕に黙って事務所に来なかった奴が逃げないようにだ!
だからこれは変なことじゃない。
手錠がないから捕まえるのにこうするしかないだけだ。
何でか自分に言い訳してしまう。
「で、今日は何の仕事?」
そんなこと考えていたら、花崎に謎の質問をされた。
「別に何も言われてないぞ?」
井上からは出る前に何も言われなかったし、今だって連絡は入っていない。
僕が答えると、花崎が目を大きくした。
「え、仕事じゃないの!?」
なんでそんなに驚いてんだよ、と思ったけど…。
「じゃあなんで小林、態々俺のこと迎えに来たの?」
次の花崎の言葉に、何も考えられなくなった。
「ぼ、僕が迎えに行ったらおかしいか!!」
気づいたら裏返った声でそう叫んでいた。
なんで僕はこいつ相手にこんなに緊張しなきゃいけないんだ…。
さっぱりわかんねえ。
あいつの言うように、コイツが諦める前に誰か教えろ。






あとがき

小林は花崎しか名前で呼ばないけど、井上との会話で明智君を「明智」って言ってたから皆の名前は認識している筈。
小林は知識と常識が不足しているので怖いものなしの男前ですが、知識も常識も知っているのに15歳にしてポンポン抱きつく花崎と違って、ある程度常識というものを知って、恥ずかしいという思いを持っても面白いなと。
喜んで顔が緩みそうになる度に顔を顰める照れ屋さんでしたし!!
そう思ったんですけど、対外的というよりは、ほぼ花崎にだけ発動されました。
ちょっと対外的なものは無理矢理感ありましたが、でも入れたかったので入れました。
本当は、小林は自覚済みだと思って書いていたのに、小林サイドを書いていたら、無自覚だったことが発覚してびっくりしました。
まさか自覚していないとは…無自覚でどうやって花崎を納得させられるんでしょうね!!
気になります!
まあ花崎も小林大好きなので、そう簡単には諦めないと思うので多分なんとかなるでしょう!!
大友くんと花崎くんは同級生というのもあって、他のメンバーより友達感がある気がするので、花崎書くと大友も書きたくなります。
友達という関係も大好き!!
でも大友は野呂ちんと合わせて、口調が謎ランキングトップを占めるので書くのが苦手です。
でも出したいので口調は雰囲気で!!

ところで最終巻の特典CD「小林芳雄、二歳」も素晴らしいものでした。
熱く語りたい。
しかし今は耐えます。

こんなところまでお付き合いありがとうございました。

 

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