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19 May

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26 November

SS『キスの時間と呼吸』

本当は1P漫画とかで描きたい内容で
文字にすると短すぎてあげるのもなーと思いつつ
そういうのはSSメーカーさんに頼ってそれっぽくしていたのですが
それもめんd……背景とか上手く会わない場合もあるので
「まあ、自分のサイトだし短くてもいいよね!!」
みたいな気持ちで上げちゃいます。








唇を触れ合わせるだけの小林のキスは長い。
長いけれど、一定時間以上はいかない。
時間にして30秒ほどだろうか。
時折もう少し。
けれどそれ程変わることはない。
しかも、離れた後不満そうな顔をして大きく溜息を吐く。
それが何度も続くと、流石に不安になる。
「キス、嫌なら無理にしなくても……」
「はあ?」
言った途端、心底理解できないという顔をされた。
それから舌打ちが一つ。
「苦しくなるから、あんまりできないだけだ」
「それは胸がとかそういう?」
また疑問に思い、問えば今度は首を傾げられた。
「おまえ、息止めてんのに苦しくならねーのか?」
続いた言葉で、漸くすべてを理解した。
小林はキスをする度に息を止めているらしい。
鼻で息をすればいいのに、唇を触れ合わせること意識を向けすぎて呼吸を忘れてるのか、敢えて止めているのかは不明だが、とにかく息を止めてしまっているのだ。
そして水中でも呼吸可能な小林に息を止める経験はなかった。
あまり長い時間息を止めてはいられない。
つまり、あのキスの長さは小林の限界点なのだろう。
気付いたら吹き出していた。
「わ、笑うな!!」
怒られたけど、やっぱり笑いは止まらなくて。
だって、嬉しいから。
あれは小林の限界まで耐えて引き延ばしたキスだ。
鼻で呼吸すればいいって、いつ教えようかな。
知ったらどれくらい長くなるのか分からなくて、ちょっと怖い気もするからもう少し様子を見てからにしよう。
でも笑い過ぎて拗ねられてしまったので、俺からも軽くキスをした。
それで少し機嫌がよくなった。
それで機嫌がよくなってくれるのが嬉しくてもう一度したら、またあの長くて短いキスをされた。
終わった後の深いため息。
どうやら深呼吸。
また息を止めたんだなと、もう一度笑ってしまった。



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